視察:はじまりの美術館

はじまりの美術館のコンセプト

はじまりの美術館は、2014年6月 築130年の酒蔵「十八間蔵」を改修して誕生した小さな美術館です。運営母体である安積愛育園は、設立から約50年にわたり主に知的に障がいを持つ方の支援事業を担ってきました。活動の中で私たちは、「障がい」ということに限らず、人としてこの地域で暮らし、働き、スポーツやアートを楽しみ、才能や能力を発揮すること、これらは大切な自己表現であり、自己実現につながっていくという実感が深まりました。
この経験から、私たちは「人の表現が持つ力」や「人のつながりから生まれる豊かさ」を大切に考え、「誰もが集える場所」としてはじまりの美術館を開設しました。福祉とアートが同居するこの場所が寛容で創造的な社会が開かれていくきっかけになることを目標とします。またこの美術館は、建築は無有建築工房、コミュニティデザインではstudio-Lと恊働し、日本財団の「New day 基金」事業の一環として整備しています。

引用サイト:http://hajimari-ac.com/

 

年の瀬に、福島県耶麻郡猪苗代町にある、はじまりの美術館へ行ってきました。靴を脱いで上がるスタイルの酒蔵を改築した美術館は、彫り方の異なる木と金属、コンクリートの異なる素材を組み合わせた展示スペースとなっていました。

 

「きになる⇆ひょうげん2019」展、開催中
館内では、「きになる」をひとつの基準に、福島県内から作品を募集した展示会“第3回福島県障がい者芸術作品展「きになる⇆ひょうげん2019」”が開催されていました。文字通り作者の、あるいはその周りの方たちの「きになること」――今回は“音”がテーマの作品展となっていました。

審査員長 日比野克彦氏の解説も流れている中、展示は所せましと並び、それぞれの作品についている審査員のコメントがどれも秀逸で、キャプションの在り方を考える機会にもなりました。

カフェスペースでは展示とともにおいしいコーヒーを楽しむことができ、他の地域の福祉施設の製品や、過去のイベントが冊子として売られていて、より身近に展示品を鑑賞できるように工夫が施されていました。

 

アーカイブとは
年末の多忙な時期にも拘わらず、今回の訪問に快く対応してくださった学芸員の大政愛さんから、日本財団による支援事業の一環として、みずのき美術館、2月に視察予定の鞆の津ミュージアムとともに三者合同で取り組んできたアーカイブ事業の経緯をうかがうことができました。

はじまりの美術館が所属する、社会福祉法人安積愛育園では、作品の捜索活動(整理・保存)は、unicoというアートプロジェクトを通して行われています。unico(ウーニコ)は、同法人の各事業所を利用されている方の創作活動を支援するプロジェクトです。12ある事業所に、それぞれunicoプロジェクトの担当スタッフがおり、設定された基準(キーワード)をもとに、作品をアーカイブしていきます。基準は以下の通りです。

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1つ目が「メジャー」です。その方にとっての代表作だったり、外部的な評価を受けていたり、「これは伝えていかなければならないよね」ということで作りました。次に「インパクト」です。「そんなにメジャーではないけれど、これはすごい!」みたいな、すごく抽象的なことばかりですが、インパクトがあると感じる作品です。そして、「ルーキー」です。「メジャーでもインパクトでもないけれど、今事業所の中でこういう作品書いている人いるんです」みたいな、まだあまり知られてないけれども発信したい、イチオシのメンバーという感じで、「ルーキー」という枠を作りました。最期に「エピソード」です。制作の過程で利用者の方の思いが表れていたりとか、スタッフとの関係性で何か出てきたものだったりとか、何かエピソードがある作品ということでこの観点を作りました。

引用サイト:Session Tokyo50

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イメージしやすく、直感的に理解できるキーワードで構成された選別基準は、取り組みやすい区分けとなっていました。医療とアートを考える会の今後のアーカイブ事業の参考にさせて頂きたいと思います。

 

そして餅つきを楽しむ
今回の訪問では、学芸員の大政さんから、これまで取り組んでこられた“視野”と“方法”を直接聞かせていただく貴重な機会を得ることができました。またアーカイブ活動に関する資料も頂き、後日フェイスブックにおいても情報のシェアを頂きました。何から何まで、大変お世話になりました。大政さん、ありがとうございました。

最後に。年末ということでたまたま参加させて頂いた、餅つきイベントの写真を掲載させて頂きます。きなこ餅、大変おいしゅうございました。

 

視察:常清 美雪

編集:津波古 祥太

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