視察:ねむの木子ども美術館 どんぐり

ねむの木子ども美術館 どんぐりについて

「ねむの木子ども美術館」は、女優宮城まり子が1968年に設立した、日本で初めての肢体不自由児のための養護施設「ねむの木学園」の子どもたちが描いた絵を集めた美術館です。ねむの木村内に2007年に開館した「ねむの木子ども美術館」(どんぐり)には、ねむの木学園の子どもたちの絵画が約120点展示されています。のどかな山里の風景に溶け込む外観は、建築家藤森照信さんの設計です。子どもたちの純粋な目と心で描かれた絵画はカラフルで独創的です。

引用サイト:キッズアートプロジェクトしずおか

 

“障がい者”への理解がいまほど主流ではなかっただろう時代から造形活動に取り組んでおり、障がい者施策、またはアート活動、アール・ブリュットのモデルとなっていそうなこと。そして人里離れたところにある“学園”の状況と、“ねむの木の詩”で描かれていた、当時の「子ども」たちが今どうなっているのか。実際の場所を訪れ、可能な範囲での見学と周辺の学園施設や物販品の書籍から情報収集を行いました。

 

山々に囲まれた、へき地の中に
終着地がねむの木学園一帯である小さな路線バスでの道行き。乗客(=見学者)は私たちしかいません。着いた先は人里離れた土地の地母神の鳥居前でした。

芝生がきれいに整えられた美術館の周りでは、地域の方と思われるシルバー世代の作業員さんたちが黙々と掃除をされており、慣れているのか、見知らぬ私たち見学者には関心がない様子でした。

障がい者の隔離が想定されたであろう一帯は、虫と沢の音のみの静かな里山でした。緑が多く、柔らかい曲線の優しいフォルム――白壁に茶色い屋根が乗った、どんぐりをイメージさせる外観をした美術館では、早めに到着した私たちに開館を知らせてくれた女性が受付をされており、ピンク色ではあるものの、医療用白衣(学園の制服とのこと)を着用されていたことが印象的でした。

 

学園を中心に広がる関連施設、見えづらい展望
里山を歩いた先に点在する集落がありました。中には学園と“子どもたち”が実習をするためのショップ(グッズ販売など)が道沿いに並ぶ一角も見えました。一帯は観光の村として展開されているようでした。立ち寄ったカフェでは、実際に学園の入所者と思われる方たちが店員をされており、訓練と実践の場になっていました。

店頭に製品展開されたグッズはかわいらしいものばかりで、鮮やかな色とともに目を引きますが、昔から知っている方によると、新作はほとんどなく、原画として20年来のラインナップというお話でした。アート活動をもとにした生活支援、就労支援の(ビジネス的な意味での)成功例といえますが、学園の――宮城まり子氏の掲げる理念が叙情的で、今後どう展開していくのか、先が見え辛かったというのが正直な感想でした。

ねむの木学園のアート活動は、一つの観光ビジネスとして成功を収めている様子でした。その要因は女優としても活動し、自らアート制作も行っていた創設者である宮城まり子氏の影響によるところが大きいと思われました。

 

視察:常清 美雪

編集:津波古 祥太

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